前身のたま電気自動車
プリンス自動車工業のはじまりは、航空機の技術者がつくった電気自動車だった

会社のはじまり
日産自動車の公式サイトの年表(1940年代)の本文は、旧立川飛行機の技術者が設立した「東京電気自動車」が、のちにプリンス自動車工業になった会社であること、その会社が「100%電気自動車」の「たま電気自動車」の販売を始めたことを書いています[1]。武蔵村山市の歴史散策の資料も、1947年に、軍用航空機を作っていた立川飛行機出身の技術者らが東京電気自動車(後のプリンス自動車工業)を設立した、と書きます[2]。2つの公式サイトで、設立の年と出身の会社が一致しています。
年表に載る2台
型式の読み方は、日産の資料にはここでは説明がありません。したがって、E4S47の「47」が1947年を指すかどうかなどは、確かめられたこととしては書きません。
同じ時期、ほかの車は
たま電気自動車が出た1947年は、戦争が終わって2年後です。日産の年表の冒頭の説明によると、戦時中は民間の経済活動が大きく制限され、自動車の製造も軍需向けに限られました。終戦後は物資不足が続き、自動車製造業には困難な状況が続きました。一方で、解体された航空機製造業から多くの人材が自動車産業に流れ込み、新しい技術が生まれる土台になった、と書かれています[1]。旧立川飛行機のエンジニアたちが興したたまの会社は、まさにこの流れの中にあります。
年表に並ぶ、この時期の日産側の項目を見ると、同じ年にガソリン車も動いていたことが分かります。
| 時期 | 年表の項目 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 1943年12月 | 第2次世界大戦に伴い、乗用車・トラックとも全面的に生産中止 | 民間向けの乗用車づくりが止まっていた |
| 1945年11月 | 戦後第1号車オフライン | 日産は終戦直後に生産を再開した |
| 1946年8月 | ダットサントラック 1121型 | ガソリンのトラックが続く |
| 1947年5月 | たま電気自動車(E4S47)、たま貨物車(EOT47) | 電気自動車の乗用車と貨物車が同時に載る |
| 1947年11月 | ダットサン乗用車 DA型 | 同じ年に、ガソリンの乗用車も出る |
| 1949年8月 | 社名を日産自動車(株)に復帰 | 日産側の社名の動き |
出典はいずれも日産の1940年代の年表です[1]。たま電気自動車は、同じ1947年にガソリン車のダットサン乗用車DA型が出る中で、100%電気自動車として売り出されました。年表の説明は、「タクシー需要などに重宝された」と書いています。ただし、何台がどの地域で使われたのかは、書かれていません。
型式の書き方が違う
年表の項目では「たま電気自動車(E4S47)」と書かれていますが、同じページの写真の題は「たま電気自動車(乗用車)E4S-47-I型」です[1]。ハイフンの有無と、末尾の「-I型」の有無が違います。写真の題から、これが乗用車であること、「I型」と呼ばれる型があることは読み取れますが、「I型」が何に対する区別なのかは書かれていません。このサイトでは、年表は年表の書き方、写真の題は写真の題の書き方のままにして、どちらかに統一することはしません。
なぜ電気自動車だったのか
これは、日産の年表の本文にも、市の資料にも、書かれていませんでした。そのため、このサイトでは理由を推測して書くことはしません。確かめられたのは、電気自動車が最初の製品だったという事実だけです。
のちの「プリンス」への道
電気自動車のあと、会社はガソリン車に進みます。年表には1952年3月に「プリンスセダン AISH型」が載ります[3]。ヘリテージコレクションの英語版の解説は、プリンスセダンを「たま自動車」が作り、エンジンは富士精密工業のものだったと書いています[4]。その後の統合と社名の変更の経緯は、日産の公式ページから確かめられなかったため、歴史の面でも「確かめていないこと」として分けてあります。
この面の読みどころ
- プリンスの車づくりは、飛行機の会社の技術者から始まっている。
- 最初の製品は電気自動車で、ガソリン車の「プリンスセダン」は5年後(年表の1952年)に登場する。
- 車名とブランド名の「プリンス」は立太子礼にちなむ名前で、電気自動車のころの名前は「たま」だった。
よくある質問
たま電気自動車は、何に使われましたか。
「たま」という名前の意味は。
電気自動車のあと、プリンスはすぐガソリン車に変わったのですか。
出典
- 日産 企業情報 ヘリテージ 1940年代(2026年11月7日に確認)
- 武蔵村山市 歴史散策コース(南西コース)(2026年11月7日に確認)
- 日産 企業情報 ヘリテージ 1950年代(2026年11月7日に確認)
- 日産ヘリテージコレクション プリンスセダン(AISH-2)(2026年11月7日に確認)